台風接近中の我が家での会話です。
「おかーさん、雲がいつもより大きく動いてる!」
空を見ると、確かにいつもより大きく早く、雲が流れていた。
自分も子供の頃はそういった自然の大きな力を目の前にして、時折怖くなったりしていたことを思い出しました。
自分は海の近くで生まれ育ちました。
30年程前、拉致被害の実態が明らかになっていたかは記憶にありませんでしたが、海岸には「しらないふねに近づかない」と書かれた看板が所々に立っていました。
「一人で海へ行ってはいけないよ」と言われながらも、海が好きで、子供の頃からよく一人で出かけていました。
砂浜で貝殻を拾ったり、ワカメを拾ったり、見たこともない漂流物にワクワクしたりしていました。
プラスチックもガラスも、長い間海に漂うとこんな風になるのかなんて、時間の限りもなく手にとって感じたり、今ではああいったなんでもない時間に育てられていたのかもしれないとも思います。
海は日によって表情を変えます。
遠くまで青い海。途中から緑色になる海。灰色の海。
どれも同じ海ですが、印象は全然違います。
本来の海の姿というものがあるなら、それはどんな色や形(波の)をしているのかなんて考えたことはありませんが、海を訪れるたびに、その表情の違いに、子供ながら小さく心を動かしていました。
印象的だったのは台風の日の海。(行くな!)
空は真っ黒。砂浜だった所が全部無くなっていて、波打ち際が驚くほど近くて、波も大きくて、見た瞬間ものすごくドキドキしたのを覚えている。
(※絶対に真似しないでください)
子供だった自分にとって、大人たちはなんでも出来るような存在に見えましたが、それを遥かに凌駕するとてつもない、誰にもどうしようもできない強い、大きな力を感じました。
大きな大きな自然の力を見る時に感じる無力感。子供の頃はただただ怖かったけど、今では生かされていることを感じます。
海の話をもう一つ。
高校生の頃バイトをしていて、仕事が終わった後一人で海に行っていました。
(女子高生が一人で夜の海に行くとかヤバい)
砂浜に座って暗い海を眺めます。
空は真っ黒で、海も真っ黒で、だけどその境界の水平線沿いに、ポツン、ポツンと漁船の灯りが見えるのです。
その灯りが海と空を分けていたこと。
黒い肌の上に重ねたパールのネックレスみたいに美しかったこと。
今でも時々思い出します。
昔から一人の時間が好きだったことと、いつも自然が寄り添っていてくれたこと。
娘と空を眺めながらなんとなく思い出した出来事でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今日も皆様に、なにか良いことがありますように♪